今日もシャキ、シャキ、という規則正しいはさみの音とお客さんを交えた明るい笑い声が響く。理容店「カトウ」は五八年館地下で文字通り校舎が完成した一九五八年から法政の歴史と共に営業を続けてきたお店だ。

 掃除の行き届いた店内は清潔感にあふれていて散髪用の椅子が七台、整然と並んでいる。店のドアも常に開いていてとても入りやすい。

 主な利用客は法政の学生、OB、教授、職員などで前総長の青木氏や重量挙げの三宅選手なども常連だったという。また、安い値段設定も魅力の一つで通常の散髪なら二千五百円というから学生にとっては嬉しい限りである。

 「大学って場所は一年の半分はお休みでしょ? その間、学生はほとんど来ないから正直、一般の店よりも難しいし厳しいと感じる時もあります。慈善事業的な部分もありますね」。そう言って代表の加藤さんは笑った。実際、現在は加藤さんを含めて二人で経営しているため七台ある散髪用の椅子も二台までしか使えないのが現状だ。

 また、「最近は男の人でも美容院に行く人が増えているでしょ? 理容店全体のお客さんの数が減ってきているんですよ。それに最近は男の人でも色々な髪型を希望されるから大変ですよ」と髪型に関する時代の変化を最前線で感じている感想を語る。

 しかし、それでも根強い人気を誇る秘密はやはりそのアットホームな雰囲気であろう。「学生の頃からずっと利用しています。今ではもう社会人ですがやはりここが一番のお気に入りです。腕もいいですしね」とお客として来ていた本学のOBは語る。実際、このお店ではリピーター客が非常に多い。これは優良店の証ともいえる。「学生やOBのお客様に『良かったです。また来ますね』って言われるとまた頑張ろうかなって気になるんです」と加藤さん。「カリスマ美容師」なるものが流行り、カッコいい髪型になることが大きくクローズアップされる風潮だがこの店は何かそれ以上のものがある。お客を引き付ける秘密はどうやらその辺りにありそうだ。    (取材・文 沼田康彦)

 

  


 

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