徳丸正嗣
 (あしなが学生募金事務局長)  


 「実際に親が自殺した子供と接した時に、ああ彼らは、こんな考えをもっているのか思い、すごい衝撃を受けました」と語る、徳丸正嗣さん(社・四)。
 彼は現在、自殺・事故・災害遺児らを物・心の両面から支援しているあしなが学生募金の事務局長を勤めている。
  徳丸さんは、四歳のとき父親を災害で亡くし、実際に大学入学まで奨学金を貰っている。大学に入るとまず二年間募金活動を行い、一年間の海外留学後、現在の職についた。奨学金をもらう立場から逆の立場へ。考え方も変わった。「とにかく自分が客観的に見られるようになりました。また物事をいろんな角度から見られるようにもなりましたね」という。
  例えば現在リストラにより多くの会社の業績回復している。普通であれば業績に目が行く。しかし彼は業績ではなく、リストラによって配置転換された人やその家族のことをまず考えるそうだ。 徳丸さんは、自らの歩んできた経験が役に立った。それが冒頭の自殺した親を持つ子達との体験だ。「同じ体験をしたからこそ踏み込んでいける部分がある、同じ立場にあったからこそコミュニケーションが取れ、一緒に問題提起ができたと思いますね」。
  そこで遺児たちの「こころ」の問題を支援するため「ケアハウス」の全都道府県への建設を実現するための募金活動も行っている。ちなみにこの「ケアハウス」は現在日本には兵庫県神戸市に一カ所あるのみだという。だが遺児達の「こころ」の問題は、世間には伝わりにくい。個人的な問題として扱われてしまうからだ。そこでそのことを理論的に証明するために具体的な数字を出して説明するという。「形の見えるようにしていないと、企業などは話をなかなか受け入れてくれないですね」。
 彼は四月からNHKに入社する。ここでも「こころ」をテーマにし、いろいろな場所を取材していきたいという。「具体的言えば、さっきあったリストラの話のように社会の中で発展の犠牲になっている人たちの状況を社会の表に出していきたいですね。報道にはそれを広める力があると思います」と語る彼の目には強い信念がうかがえた。

 


  

 


 

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