木口 宣昭
(本学体育科講師・木口道場会長 )

行動する研究者たーくん

 とても五十歳を超えているとは思えない太い腕をブンブン回しながら、自らを「動物園から逃げてきたゴリラ」と言って豪快に笑う。そんな彼も高校生のときまでは病弱な子供だったという。「大学で初めてレスリングを始めたとき一年次で全敗してね。それが悔しくって毎晩みんなが寝静まった後、木を相手にタックルしてたよ。みんなには気持ち悪がられたけどね」。その結果二年次の全日本学生選手権大会で優勝。格闘技の道を突き進んでいくことになる。

  「学生時代に英国で見た老若男女分け隔てなく練習しているジムに感動したんだ。それで日本にもこういう場所を作りたいなって思ったんだよな」。それがきっかけで木口道場の完成となった。今では格闘技界では知らない人はいない、オリンピック選手を何人も輩出している有名なジムだ。

 今までに法政など様々な大学でのべ一万五千人ほどに体育を教えてきた。「私が今まで格闘技を通じて学んできたものを少しでも伝えたいよね。人に対する優しさとか、何事にも情熱を持つことの大切さとか」。それが確実に学生の心を捉えているからこそ、毎年飛び入りの受講希望者が後を立たないのだろう。

 最近は得意のギターを生かして積極的に孤児院訪問などのボランティア活動も行なっている。「今まで色々な人に御世話になってきたからね。それに、子供たちの真剣で楽しそうな目を見ると本当にうれしくってね」。そういって顔をほころばす。

 今後の目標は「継続は力なり」を身をもって実践していくことだという。「エイジシューティングっていってね、年齢と同じ事をしていくの。俺の場合は八十歳になったときに八十回の逆立ち腕立て伏せをしたいんだ。毎日続けていけば、誕生日の日も出来るはずだからね」。

 その類まれな行動力と確固たる信念。それらがあるからこそ彼の周りに人が集まってくる。「道場のモットーでもあるんだけどさ、『清い心・強い身体・良い頭』を心がけていければ最高だよね」。そういって最後にまた豪快に笑った。     (沼田康彦)

 

  


 

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