電磁波被ばくの恐怖


 一九九〇年七月の『ニューヨーカー』誌で発表された記事に、人々は恐怖を覚えた。アメリカのコネチカット州、ギルフォード市にある“メドウ通りの悲劇”である。わずか九軒の住人のほぼ全員が頭痛に襲われ、そのうち四軒の家から脳腫瘍になった者が出たのだ。ここには巨大な変電所があり、家々の上空には高圧送電線が張り巡らされていた。

 送電線や身の回りの電化製品から、目に見えない有害電磁波が出ている。日本では最近になって電磁波の影響が浮上してきた。それらがガンや白血病、脳腫瘍、アルツハイマーなどの原因ではないかと注目を集めている。

 それだけではない。送電線の近くに住む人の間で自殺者が多いという調査結果が出ている。強い電波にさらされると自殺者の割合が約四〇%も高くなるのだ。また、精神病院通院者が多いという発表もある。電磁波が精神や神経にも影響を及ぼすようだ。

 パソコンを使って目の疲れを覚えた経験はあるだろう。では、ここから漏洩する電磁波の害を考えたことがあるだろうか。アメリカのニューヨークタイムズ社で、二人の若い労働者が、パソコンのディスプレイを使用する作業をそれぞれ六ヶ月、十二ヶ月行った後、白内障になった例がある。二人の年齢は、二十九歳と三十五歳。老化によるそれとは違い、マイクロ波の被ばくから生じる白内障ではないかと言われた。

 女性は流産、早産、障害児の出産の可能性が高くなる。カナダのトロントスター新聞社で、VDT作業をしていた女性で、一年間に出産した七人のうち四人が障害児を産んだという報告がある。  テレビは家庭の中にある最も電磁波を発生させるものだと言われている。視覚障害の点からテレビを近くで見ないよう注意されるが、これらの他に、場合によってはガンや異常出産まで引き起こす可能性がある。放出される電磁波の多くは側面や後方から出ていることを知っていてほしい。イギリスでは「テレビゲームてんかん症」の子供が多数発見されている。テレビを見る際には少なくとも一・五メートル程度離れるべきだ。

 電磁波は、人体だけに影響を及ぼすものではない。機械の誤作動は大きな社会問題となっている。飛行機事故が起きやすくなったことは事実だ。乗客が着陸の際に携帯用CDプレイヤーのスイッチを入れた時に発生した電磁波ノイズによって、コントロール用電子機器に異常が起こり、急激に左に傾き、地上に激突する寸前になるという事故があった。誘導電波に頼るため、地上との交信がかき乱されると、事故に結びつく可能性が大きくなる。

 電気なしでは暮らせず、電磁波のなかで生活している私達にとって、これらは目を背けることができない問題であろう。電磁波の影響をより詳しく知る必要があるはずだ。

 



 

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