転換期の学部教育  〜経営学部編〜


 長年単一学科だった経営学部も、教学改革の下で来年度から三学科体制となる。この改革を受けて、経営学部はどのように変わるのか。 経営学部教授会主任の奥西好夫教授の話を元に検証した。

<一学科四コース制から三学科体制へ>

 経営学部は来年度から、経営・経営戦略・市場経営学科の三学科に分けられる。その際、今年度まで設置されていた総合・基礎研究・情報・国際コースは廃止される。なお、現在の学部生は、そのままコース制を維持する形となる。

  新学科設置の目的について、学科を三学科にわけ、経済社会・企業経営の変化に対応させるためとし、「そのための少人数教育の実現を図る」と回答した。現在の日本の経済の影響もあり、経営学の専門家育成の必要性を強調した。しかし、その背景には他大の少人数教育の煽りを受けた改革という印象も窺える。

  学科の新設によって学問選択の幅が狭まるのではないか、という疑問には「新しい学科後も学科間で自由に選択できる仕組みだ」と話す。つまり、学科は違っても選択できる科目は同じということになる。また、基礎科目も現在のものとほとんど内容は変わらない。

  〇三年度の定員は経営が二八八名、経営戦略が二百名、市場経営が百八十名の、計六六八名。現在の定員より、三三名減る。専任教員は、現在よりも十名程度増える予定だ。また、〇三年度からは第一教養学部から十四名が経営学部に分属する予定。教員の数は、およそ六十名となる見込みだ。

  入試は、二月八日に経営戦略・市場経営学科、十一日に経営学科の入試が行われる。経営戦略と市場経営の試験問題は同じ内容で行われ、どちらかのみの受験となり、その後経営学科と併願できる。また、三学科とも入試科目は同じとなる(ただし、新学科では理科、簿記会計は選択できない)。

  また、二年次から受講できるキャリアプログラム科目が設置された。これは、国際コミュニケーション、キャリア・マネジメント、検定会計から成る科目で、内容は即戦力を養う科目と言えよう。また、国際文化学部を倣って、SA制度を導入するという計画も進んでおり、分野は幅広くなるという見方もある。

<新学科と現在の経営学部との差>

  現在の経営学科は、内容を組織・人事・会計に絞った上で新たな経営学科へそのまま移行する形だ。経営学科に残るのは「経営学の中でも伝統的分野と言える」と話す。内容は経営の基本知識の習得を前提とし、経営管理のプロの養成が概念にある。

  他の新学科は、新たに発展してきた分野を中心に専門性のあるものを、二学科に分けた形となる。経営戦略では「戦略、国際、歴史、分析・統計を主な柱」とし、グローバルな視点を持ち、戦略発想等を兼ね揃えたマネージャーの養成が念頭にある。また、市場経営では「マーケティング・流通、産業・技術、財政・金融・公共サービスを主な柱」とし、個別市場のスペシャリストの輩出を目的としている。そこには、カリキュラムの体系化を目的とした大学側の見解がある。しかし、専門基礎科目A・B群の内容は現在のものとほとんど変わらず、現在のB群の日本経済論が経営戦略論に、また金融論がB群に変わる程度である。

<改革への疑問>

 少人数教育の一環として、ゼミの不足や大教室の講義が多いといった、学生のニーズに合わない問題点をまず改善したと言える。 全ての教員がゼミを持つか不明だが、「第一教養学部から分属される先生の多くにも、ゼミを持ってもらえると思う」と話す。将来では、およそ六百名の学生がゼミを受講できる計算になる。つまり、学部生の約九割がゼミを受講できる。

  しかしその反面、前述したように、経営戦略・市場経営学科での学科専門科目は別学科間でも選択可能であり、知識の幅を狭めない手段としながらも、専門性への曖昧さも見え隠れする部分もある。

  大学は、時代に合った学科を学生に提供し、その後は学生の手によって科目プランが設計されることになる。受験時、もしくは入学後早くからの将来設計が確実なものであれば迷いはないが、そうでない学生は将来プランを意識したものでなく、自分の好きな学科、もしくは単位の取りやすい科目の履修へと陥りがちになるという見方もある。これに対し「学生側の主体的な履修科目選択が重要と言える」と語り、学生の目的意識を強調した。

  あくまで大学は、学生に対しプランを提供したといえるが、実際は学生任せの面が窺える。学科新設によって、表面上は変化したが、内容としては現在の経営学科と大して変わらない。表面的な改革で終わっているのが現状と言えるのではないか。

 

 

  


 

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