今回の自主法政祭で、江本孟紀氏を招き「江本孟紀氏の熱き語らい」と題して新聞学会主催による講演会が行われた。今回は、当日話が聴けなかった人たちのために話の内容を大まかであるが紹介する。
 内容は、野球から選挙での裏話に至るまで、幅広い。江本氏の舌口調ぶりがうかがえた。

 

 「大学生活では、アルバイトもいろいろやりましたね。フィリピンバンドのマネージャーとか、うどん屋でのアルバイトとかね。法政は選手の数が異様に多いんです。四番でピッチャーなんてザラでした。プロに行きたかったんですが、当時は、今は無き社会人野球の熊谷組に就職先は決まっていて『ノンプロや』と思っていました」。
 「今振り返るといい体験でしたよ。十一月にドラフトがありまして、プロ入りを果たせませんでしたが、でももし、大学四年で活躍していて、ドラフトでプロ入りしていたら、今の人生はなかったのではないかと思いますね」。  話に引き込まれている観客。話題は参議院議員となったいきさつへと移っていく。
 「今は野球解説者をやっていますけど、ずっと同じことをやっていると飽きがくるんですよ。それで、ひょんなことは起きるもので、ある日スポーツ平和党からアゴの長いプロレスラーがね、『江本さん、スポーツを通して日本を変える気はありませんか』と来たわけです。私は『いや、ありません』と言ったんですけどね」
  会場は笑いに包まれる。
 「あのアントニオ猪木の、アゴの先から言葉が出てくるのを聞いているうちに、『せなあかんのかな』と思ったんですが私は冷静ですから、時間を下さいと言ったんです。すると猪木さんに『江本さん。スポーツマンは物を考えずにいい考えが浮かぶんですよ』と言われましてカチンと来たわけですよ。それでOKしちゃったんですね」。
 テンポ良く進む話。ペースは完全に江本節。選挙活動中の苦労話も顔を出す。
「今までは、プロ野球選手として生きてきて、握手も相手から求めてきたわけです。でも、選挙だと反対になるんですね。自分から行かないといけない。ある時猪木さんに首筋をつかまれて、『江本さん。おじぎっていうのは、相手の頭の下まで頭を下げなきゃいけないんです。』と言うわけです。でも、私たち二人とも身長が百九十センチもあるもんですから、なんぼ下げても相手の頭の下にいかないんですよ」。
 当時の様子を思い出したのか、江本氏自身も笑いながら説明をする。  「ある日、あの長嶋さんから、選挙の応援に行くよと電話があったんです。私はお断りしたんですが、どうしてもとおっしゃるので、そういう話になったわけですが、不自然だから、長嶋さんが散歩をしていて、たまたま私の選挙事務所を見つけたことにしようってことになったんです。長嶋さんは律儀な人ですね。当日散歩しなきゃなりませんから、手前の信号機で車から降りて、背広のままちゃんと歩いてこられるんですよ。長嶋さんは私に気づいているんですが、そこから演技入ってますからね。長嶋さんが私の目の前をパッと見て『あ、江本さんどうしたの?』なんて驚いたふりをして通りかかる。そしたら翌日の新聞は『長嶋 江本を激励』なんて出てね」。
  最後は江本氏らしくさわやかに締める。
「長嶋さんは僕にとって神様のような人ですね。彼が選手の悪口を言っているのを聞いたことがありますか?一度でも。ないでしょう。悪口を言うなんて最低ですよ。選手の采配が悪いなどと言われますが、そんなこと私から言わせればアホですよ。長嶋さんは、プラス志向という考えを持っておられる。清原がガタガタだった時でも、一言も悪口を言わなかった。選手の良さ、可能性を最後の最後まで追求していく。この発想が素晴らしいと僕は思います」。
  九十分という、講義と同じ長さとは思えない時の速さで幕を閉じた講演会。講演者がネームバリューのある江本氏だけあって、予想以上の盛り上がりを見せたことは間違いない。

 

・お会いして   
 講演後の我々からのサインの要望にも「あ、いいよ」と快く応じてくださった江本氏。そんなご好意に甘え、逢わせて三枚も頼んでしまっても、いやな顔ひとつせず接していただき、良いいい先輩を持った喜びでひとしおでした。講演中だけでなく、我々サークル員との対話の中でも和気あいあいとした雰囲気で盛り上がりました。その親しみやすさから感じた印象は、野球解説者、参議院議員と活動の場を広げるバイタリティーそのものでした。     
 



 

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