レジャーランドとも形容された大学生活。青春を謳歌し尽くそうとする学生がいる一方 で、大学に通いながらも、夜は専門学校に通う者もいる。いわゆる、ダブルスクール族と 言われる人々だ。

 ダブルスクール族は二つの分類に大別できるようだ。公認会計士、税理士、司法試験を 始めとする就職に直結する資格の取得を目指す人達。一方は現在の社会で働く上で必要な スキル(英語、パソコンなど)の獲得を目指す人達。後者の方が手軽で期間も短い。

 取得困難といわれる公認会計士を目指すAさん(社会学部二年)は一年前から資格取得 に執念を燃やす。年間五〇万円の学費を自費で賄い、大学の授業をこなし、連日専門学校 にも通う。もちろん、深夜は遅くまで机に向かう。「将来どうなるかわからないからさ」高 度に専門性のある資格は高収入への近道だ。苦難を積み重ねた後に待つ安定した生活。彼 はそれを得るために今、全精力を傾向けている。だが、他の生活を捨てざるを得なかった。人一倍力を注いでいたゼミを止めたのだ。「最初は両立できると思ったんだけどな」。

  税理士を目指すBさん(経済学部三年)は「女が仕事を続けるためには資格があった方 がいいでしょ」と言う。男女問わず、一度社会に出た人が社会をわたる武器として資格取 得を目指す例も多い。不況が続く昨今、女性差別の問題を含め、仕事を続けるのは容易で はない。彼女は大学に通う傍ら週二回の授業をこなし、試験に備える。「予備校に似ている かも」確かに懇切丁寧なテキストから試験の心構えの指導まで受験予備校さながらのサー ビスを備えている。

 彼女は大学入学当初、家で暇に過ごすのが嫌だった。サークルにも入ったがそれほど身 を入れていたわけでもない。高校時代の友人達はそれぞれ忙しそうにキャンパスライフを 送っている。そんな彼らを見て彼女は入学前から漠然と考えていた税理士の学校に行くた めの資金を稼ぎはじめた。「忙しくて大変だけど、今の方が好き」。 しかし、一方にこんな人もいる。彼の場合、専門職ではなく、総合職として入社したのだが「そういえば、あとでお前は人柄で採用したって人事に言われたなぁ。試験はほとんど、ビリだったんだけど」(法大OB、大手商社)という。彼のような人は昔なら大手に就職することはできなかったろう。企業は八〇年代から、学歴・成績中心の採用形態の是正を始めコミュニケーション能力など人間性に注目し始めている。彼に「就職の秘訣は?」 と聞くと「さあ? 大学楽しくやればいいんじゃん?」と。彼は大学寮に所属し、寮務、 ゼミ、インターンシップなど精力的に活動していた。「人にたくさん会えたのはプラスにな ったと思う。」

 どんなアクションを起こせば、自分の望む職業につけるのか、一般的にその答えはない。 だが、資格の取得はそんな疑問を解消するための免罪符に成り得る。もちろん、それが真 に望む職業であり、資格が取得できればの話であるが・・。 迷える羊、私達はどこへ行けばよいのだろうか。

 



 

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