一般大学で学ぶ学生は専門技術を扱う職業への就職に対して、二の足を踏むことがある。そのような専門職の一つである写真家という職について考えてみた。

 写真家といっても多様な分野、形態があり、それぞれに求められる技術は異なる。しかしいくら形態間の技術的差異があっても共通して写真家に必要なのは「寝ても覚めても写真が好きという奇特な性格ですね」と語るのは新宿東口にあるフォトスタジオのスタジオマン。どのような写真を撮るにしろその気概は必要なのだそうだ。

 プロの写真家と称される人々は正確にはフリーランスと呼ばれ、実力と営業力、そしてコンテストなどの実績により企業に頼らず単身で仕事を取ってくる人のことを言う。

 ではどのようにすれば彼らに近づく第一歩を踏み出すことができるのであろうか。「実際、これをすればプロの写真家になれる、という王道は無いですね。あえて言えばスタジオマンになるというのが最近の一般的なスタイルなのではないでしょうか」。スタジオマンとは、フォトスタジオに入社して、スタジオを利用する写真家の補助をする職業のことである。一般的なスタジオは人手不足であるため、特別に写真の技術がなくても採用されることが多い。そのためここで撮影全般の技術力を培うことができる。

 その一方で「スタジオマンは四年が限度だと言われます。何故ならスタジオマンは毎月の給料が約束されているため居心地が良く、長い間ここに留まることは、写真家に必要なハングリー精神を失うことに繋がるからです」。生活の安定と写真家への夢にきちんと折り合いをつけること、それがスタジオマンには求められる。

 一方で古典的ではあるが、写真家のアシスタント、つまり弟子として働くという方法もある。「しかし有名写真家のアシスタントは今でも希望者が多いため狭き門となっており、また写真家が直々に技術を教えてくれるということはないので、技を『盗んで』ゆくしかありません。また、見習い時期は収入がほとんどないことを覚悟しておく必要があります」。一方でメリットとしては「あの○○先生の直弟子」という肩書きを手にいれることができることで、フリーランスの時に営業において有利になる。

 では写真大学や専門学校を卒業せずとも我々一般大学学生が写真家になることは本当にできるのだろうか。

 「専門教育機関では写真技術の他には写真史や写真芸術史、作品研究、色彩学など直接技術とは関係の無い教養の修得が目的となっています」。つまりこれらを卒業することだけが写真家になるために大切なのではないということだ。

 大切なのはやはり社交的人柄と、ただただ写真が好きという情熱に尽きるようだ。実際、写真家にとって普通の会社員並みの収入を得ることは容易ではない。写真だけを愛し、そして生活に余裕が無くなっても写真だけで満足できるような価値観が必要なのではないか。

 



 

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