就職に有利になるかもしれないと、資格や検定を取得する人は多いという。では実際、就職の際に資格というものはどのように関わり、実務でも生かされるのかということを、金融系の企業と就職した先輩の二視点から探った。

 高木亮さんは経済学部を〇一年に卒業、現在はオリックスに勤務している。学生時代にファイナンシャルプランナー(以下FP)、HSK(漢語水平考試/中国公認の中国語能力検定試験)、内定後の研修で簿記2級、ビジネス実務法務検定試験3級を取得した。

 高木さんは総合金融サービス業として法人や個人に金融のアドバイスを提案している。金融についての深い理解と、保険や税金など幅広い知識が要求される職種だ。実際就職して、資格はどう使っているのだろうか。「FPは仕事の予備知識として役に立っています。金融全般、保険や年金のことも学ぶから、お客様と話をする際に使えますね。直接仕事に関係あるかというと、そうでもないんですけど」。とはいうものの、金融系の職業に就きたいという意志を持ち、FPを取得した。同僚を見ていると帰国子女が多く、高木さん自身も中国に留学の経験がある。留学先で取得したHSKは、他人とは違う点のアピールになった。メジャーな語学検定だとTOEICや英検があるが、「就職のアピールとしては多くの人が持っているから弱いかな。けれど将来海外転勤する場合があったら役に立つ。他にも簿記の知識は会計士のような更に上の資格のベースになりますね」今すぐに有効でなくとも、将来につながる資格の取り方もある。

 「資格は興味があるものを取れば良いんです。内定と直結する資格はあまりないけれど、自分のやりたいことを深く追求することは就職へと繋がるかもしれません」と、高木さんは語った。

 ある大手証券会社では採用試験で人物面、特にコミュニケーション能力を重視している。今の企業の多くは学歴主義から実力主義となっているが、資格をもっていることはどれほど重視されているのだろうか。多くの学生を見てきた人事部の方に話を伺った。

 「資格の種類にもよりますが、参考程度です。金融系の資格を持っていると『金融系に興味があるんだな』と思いますよ。実際仕事ができるかどうかということについてはわかりませんけれど」。企業もあまり資格を重視しないようだが、「資格を受けるのにかけた努力は見たいですね」と、結果だけではなく、プロセスを評価することもある。エントリーシートや面接で自己アピールをする時に資格を挙げる人は多い。「学生さんの履歴書はあまり個人差が無いですが、金融系企業の場合だとFPをアピールする人が多いですね。証券アナリストを勉強中という人もいます」と、人事部の方は言う。このような形で、職種に対する興味があるのだと企業側に主張することができる。しかし、こうも言われた。「語学系の資格ですが、当社の場合実際関係は無いです。語学留学のことを言う人はいますけれど、ほとんど意味は無いですね」。その職や企業に見合ったアピールの仕方というものもあるらしい。

 「面接の際に重視するのはやはり人柄です。特に営業職だとコミュニケーションが上手いことは大切ですね。それから、勉強でもサークルでもバイトでも遊びでもなんでも良いので、大学生活の4年間一生懸命続けてやれることを探して欲しいです」。これから就職を考える学生に、そうメッセージをいただいた。

 資格というものは自分のスキルを表現する手段の一つとしてはわかりやすい目安であるが、過信しすぎてはいけない。余程専門的なもので無い限り、あくまでアクセサリー程度なのだということを忘れずに、自分自身とそのスキルを磨いて就職に臨むべきではないだろうか。

 



 

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