学生会館夜間使用禁止

度重なる火災が原因

大学側 防災体制確立を要請


 八月十三日、午前八時五十四分頃、学生会館(以下学館)ホール棟地下一階、通称「地下食堂」にて、ボヤが発生した。幸い、火は学生の手によって消し止められたが、消防車と救急車が出動する騒ぎとなった。その後の現場検証によって、出火原因はたばこの不始末と判明した。これを受けて、同日午後、麹町消防署は過去一年間における火災の頻発さを憂慮し、口頭で、本学に建物管理責任に対する警告を出す旨を伝えた。(警告文は八月二十七日付けで清成総長あてに届いている。)大学は「改善がなければ法的な処置も含まれる」とするこの警告を受け「防火管理体制の改善がなければ法的に施設管理の停止、学生会館の閉鎖もありうる」と認識し、学生会館学生連盟(以下連盟)(※1)の自主管理体制を見直す案を突きつけた。連盟は、学館の閉鎖は避けるべく、夜間の学館利用を翌十四日から「自粛」、今日まで至っている。九月十八日の学部長会議では、今後の学館に対する対応を検討し学生側に学館の各ボックスの鍵交換の理解と協力を求める見解を九月二十二日付けで正式に発表した。しかし、連盟側は大学の一連の対応を「防火管理体制ではなく、学生管理体制の問題にすり替えている」とし、反発を強めている。

火災現場

  ボヤが発生した地下食堂はホール棟の地下一階にある。通称「地下食堂」だが、実際に食堂があるわけではなく、演劇・写真・美術を行う団体が企画に使用する資材を置く場所となっている。ボヤ発生当日もこれらに加え、ベニヤ板や木材など、燃えやすいものが放置されていた。

 また、出火時の地下食堂は、施錠がされておらず、誰でも出入りができる状態になっていた。実質、ホール棟を管理している事業委員会は「施錠の確認が行われたのは数日前になり前日の確認は行われていない」と説明している。これについて事業委員会は近日中に見解を出し、今回の火災における管理不徹底の謝罪と今後の管理の徹底に努めることを示すとしている。

 現在、学生側が「地下食堂の防災対策」をとりまとめ大学に提出したことから地下食堂の利用は再開されている。

夜間使用禁止

 ボヤ発生当日、消防からの警告を受け、大学は@全館夜間使用禁止(マスターキー返却)A地下食堂の閉鎖B翌日から警備員を配置C暫定的に大学と学生で共同管理するDたばこの扱いを検討すべし、との案を連盟側に伝えた。特に、マスターキーの返却については、禁止三条件六項目、いわゆる「三―六」(※2)の存在を改めて示したうえで「現在のように各部室のコピーキーが出回っている状態では、夜間の防火管理体制が確立できない。マスターキーを大学に返却し、コピーできない鍵を作成する。そして、鍵の全面交換を行い、昼間は学生が、夜間は大学が管理する」と言明した。

 この体制にならない限り、防災対策は徹底されないとし、現在は午後十一時から翌八時まで学館前に警備員が配置され、入館できなくなっている。

消防査察

 連盟は今回のボヤについて、八月十七日から二十九日まで学生に説明会を行った。また、十七日には、十九日に学館に消防査察が入る旨が連盟に通達された。連盟は各サークルに呼びかけ、翌十八日に学館の廊下の防災の妨げとなるものを撤去するなどして、これに備えた。この日、学館前には大量の粗大ゴミが山のように積まれた。

 十九日の消防査察では、防火扉の不具合や、誘導灯カバー破損などおもに七点の指摘を受けたが、翌日の確認の査察では、指摘点の改善が認められた。

学生側の対応

 その後、連盟は防災対策会議を開き、できるだけ多く、一般のサークル員の参加を呼びかけている。今回の大学の対応を受け、連盟は学館の二十四時間学生自主管理を取り戻すことを掲げている。防災対策会議では、個人の意見を多く取り入れ、学館総体としての防災対策を構築していくとしている。会議では、防災対策の冊子の作成、配布の他、防災訓練の義務化などの意見があがっている。

 今回のボヤを受けて、大学が「自主管理体制」の見直しを求めてきたのに対し、学生側から「防火管理体制の問題を自主管理体制の問題とすり替え、学館の既得権益を奪おうとしている」との声も挙がっている。九月四日には学館連絡担当者と大学側の非公式折衝が行われ、学生約百五十人が学生部に駆けつけた。その場では学館の今後の体制について学生側の意見が学館連絡担当者により読み上げられ、大学管理体制を強行しようとする姿勢に対し反対の意を表した。

 また、九月八日に行われた当局による鍵交換の下見では「学生間で話し合っている状態で、大学の一方的な鍵交換は認められない」と学生が大学側の入館を拒否した。

大学側の方針

 学生側は消防査察の結果、防火対策、地下食堂の今後の正式な利用体制についてなど「自主管理体制」を大学に示してきたが、大学は「学生側の努力は認めるが、防災対策を学生に任せることは問題」とし、今後も夜間は大学が管理していく姿勢を崩していない。

 浜村学生部長は「学内の施設管理の最終責任を負うのは、大学。今回の火事では運良くけが人も出なかったが、万が一死人がでるようなことになっても学生が責任を負うことはない。最終責任を負う立場にある大学がその建物の防火管理を行うのは当然ではないか。しかし、学生のサークル活動の重要性は無視しているわけではない。むしろ、学生のサークル活動の基盤である学生会館を閉鎖という事態にしないためにも、鍵交換の必要がある」と本紙の取材に応えた。

 十八日の学部長会議の結果を受けて、大学は近日中に鍵交換についての会見を設けたいとしている。その場で、学生側に協力と理解を求めているが、会見の日程は学生側と調整中である。一部の学生の間では、「大学は会見を開ければ、理解は得られたという認識をもつ、いわゆる『ティーチ・イン』の可能性もある」という声も聞かれる。

様々な問題への影響

 また、大学はこの問題は、今年の五月二十七日に行われた、いわゆる「五・二七会見」から継続している備品問題にも関わってくるとしている。浜村学生部長は「消防に防火管理体制の責任を問われ、最終責任を負う大学の防火管理体制を学生側に申し出ている。だが、その案を受け入れず、備品だけもらい受けようとするその姿勢はこちらも認められない。大学の防火管理体制の案を受け入れるならば、学館の運営責任を誠実に自覚するものとして、大学側も備品問題について来年度からの予算に組み入れるなど、積極的な措置について検討することも考えている」と本紙の取材に応えた。

 さらには、自主法政祭準備期間における学館の利用についてもこの問題は関わってくるとし「学祭実行委員から、学祭の準備期間について二十四時間の学館の利用を求められているが、これは夜間の管理体制を原則的に禁止し、例外的に新歓・学祭開催期間などに限定してその使用を認めている体制を変更することを意味する。従ってこの提案は学館の運営体制のあり方全体に関わる問題なので、これは学祭実行委員と大学だけで決められる問題ではない」としている。まずは、「三―六」にある午後十一時から午前八時までの夜間利用禁止の体制の確立、その後、例外として学祭の準備期間も検討するという段階を踏んだものでなければ、話は進められないという。つまり夜間は大学が管理できるよう、鍵の一斉交換に応じる姿勢が見られなければ、学祭の準備の協議もないとする考えのようだ。「大学が求めている学館の防火管理体制について、学生側の対応によってこれらの問題は大きく影響してくる」と浜村学生部長は言明している。

 学生側で防災対策、管理体制を確立し「二十四時間自主管理体制」を貫徹していきたい連盟側と、施設管理責任としての立場を打ち出し「鍵の全面交換」を徹底的に求める大学側の話し合いは、今日まで、平行線をたどっている。

語句説明

(※1)一九七四年の強制入館以来、学館の管理運営にあたる最高組織。現在も組織され学館を実質的に運営しているが、現在、大学側から非公認化されている。

(※2)大学の文書による正式名称は「禁止三条件六項目」。その三原則に「当分の間、夜十一時から朝八時まで学内立ち入り禁止」という項目が含まれる。学生側は原則的に「三―六」を認めていない。

 

 



COPYRIGHT(C)法政大学新聞学会

このホームページにおける全ての掲載記事・写真の著作権は法政大学新聞学会に帰属します。

無断転載・流用は禁止します。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送