八月十三日、十五日の両日行われた学生会館の強制捜索は、大学と学生団体の対立を決定的にした。幾度となく会見を繰り返すものの、一ヶ月以上たった今も解決の目処はたっておらず、学祭への影響も懸念され始めている(3面に関連記事)。

 

@(不意打ちの十三日) 十三日、午後四時十五分。 小泉首相の靖国神社参拝とほぼ時を同じくして行われた強制捜索は、まさに「電撃的」(一文連関係者)だった。 この日、靖国神社は、首相の参拝を聞きつけた人々、賛同する者、反対する者でごった返しており、こうした中での強制捜索を多くの学生は、「小泉(首相)の参拝への反対運動を阻止するためと見るはずだ」(一文連関係者)。 また、これに先立って、午後二時ごろに本学学生が逮捕されたことから、学生有志は「十三日の捜索・逮捕の不当弾圧を問いただす」(連盟幹部)として即日、大学当局へ会見を要求した。  A(別件捜索への不満) これに対し、八月十五日の捜索は、この数年「恒例的」(大学関係者)に行われており、毎年批判の的にされてきた。そもそも学館への強制捜索自体、「閣僚の靖国神社参拝に対する抗議行動への弾圧が目的」(一文連関係者)とされている上、容疑は「爆発物取締罰則違反」だが被疑者は不詳のままの、いわゆる「別件捜索」だ。学生団体はこうした事実に反発すると同時に、何の抵抗もなく捜索を受け入れる大学に対して批判を強めている。 B(マスターキーの無断使用と大学の真意) 暫定「合意書」*1によれば、学館のマスターキーの使用は、「大学当局、学生会館学生連盟双方の話しあいによって決める」とされているが、ここ数年の捜索において大学は「これを全く無視」(一文連関係者)している。  その上、容疑と学館の関係性を明確に出来ない「欠陥的」(連盟関係者)捜索にもかかわらず、「それを受け入れる大学当局は学館を潰そうという意図がある」(一文連幹部)として一層学生の不信感を募らせている。 C(埋まらない溝) 「自己批判しろ。自己批判を」 「それには大学は答える立場にはありません」 歓声と怒号が入り乱れる八月二十二日の学生部会見。強制捜索に応じた大学当局を非難する学生有志と、大学側の正当性を繰り返すだけの学生部長以下、教職員たち。議論のかみ合う余地はない。 「十三日も十五日も明らかに不当捜索。それを許した当局をあくまで追求していく」と、ある連盟幹部は話すが、対する大学側も、「捜査令状が正当かどうかは司法の判断に従う」(学生部長補佐会見回答)として真っ向から対立しており、「妥協は難しい」(大学関係者)との見方が支配的だ。 学生・大学双方が対立したまま学内に残った大きな「しこり」は、来月以降に控える「自主法政祭」の行方も左右しかねず、今後も曲折が予想される。 *1 一九七三年十二月、に学生会館開館にあたって、その管理運営等について学生と大学側で定めた合意文書。

 

  


 

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