(解説) 経営学部をはじめ既存学部が組織改革を急ぐ背景には、文部科学省の推し進める「私立大学トップ30構想」がある。これは、現在すべての私立大学へ行っている助成を将来性のある約三十校へ集中させ、援助の効率性を高めるというもので、これに選ばれると選ばれないとでは「雲泥の差がある」(大学関係者)。選ばれるためには、きめ細やかな教育環境をアピールする必要があり、大学としては当面、学部、学科新設などの拡大路線で対応せざるを得ないという事情もある。 本学ではこの数年、清成忠男総長の強力なリーダーシップのもと、全学的な教学改革を推進しており、一九九九年度には市ヶ谷キャンパスに国際文化、人間環境学部、翌年には多摩キャンパスに現代福祉学部、小金井キャンパスに情報科学部を新設した。この間、学費の値上げ行われた事などもあってこうした改革路線には「安易な拡大・膨張政策」との批判もあったが、これらの新学部は発足当初から多くの志願者を集め、停滞する大学財政に貢献した。こうした流れを受けて既存学部も一斉に組織改革に着手。経済学部が「国際経済学科」を設置したのを皮切りに社会学部が来年度に「メディア社会学科」を新設する予定だ。文学部も心理学系の新学科を計画しているほか、経済学部は早くも新たな学科増設を検討していると言われている。 また、これらの既存学部の学科新設は、現行のコース制を再編成し、募集人員は変更せず学科全体で分割する「改組転換型」が通例。大学の性質上、教員の削減せず、招聘する新任教員はごくわずかで、新規開講される講義も大半は学部内の配置転換で処理される。このため、変わるのは主に学科編成だけで、「看板の架け替え」(学館関係者)との批判もある。大学という旧態依然とした体質を改善しながらはたして魅力あふれるプログラムを提示できるか、「学部版」教学改革の真価が問われるのはまさにこれからといえる 。

 

  


 

COPYRIGHT(C)法政大学新聞学会

このホームページにおける全ての掲載記事・写真の著作権は法政大学新聞学会に帰属します。

無断転載・流用は禁止します。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送