文学部再編

来年度より 学部全体で大幅な改革


 二〇〇三年度より文学部が再編される。改革は心理学科の新設を始めとする、二部三学科の廃止、日本文学科のフレックスタイム制(昼夜開講制)導入などのハード面に留まらず、文学部全学科でのセメスター制(前期、後期毎に単位が出される方式)導入や、全学科の定員数削減など学部全体で大幅に行われる。本学では近年清成総長が推し進める教学改革によって新学部、新学科の設立ラッシュが続いており、今回の文学部再編もその一環として行われる。

  これほど法政大学全体で急激に改革が行われる背景には文部科学省が提唱する遠山プランいわゆる「トップ30構想」がある。この構想は国公私大分野別に上位三〇大を世界レベルの大学へと育成するもので、上位にランクされた大学には国から援助金が投入される。今回の改革もそれを視野に入れたものとみられる。 しかし、今回の文学部の再編は、少子化の影響や、就職に有利とされる実学や社会学などへの学生の人気が高まっていることなどに加えて、文学部志望の学生が減っていることから、受験生に対して受けのいいものを取り揃えたと言う感もある。

心理学科設立

 文学部の新学科が二〇〇三年度に開設されるために、文部科学省に認可申請中であることが明らかとなった。実学人気に押される文学部の再編の核として実施される。

  新設される学科は「心理学科」。定員は五〇名。

  心理学については、本学ではすでに現在文学部二部教育学科心理学コースで教育が行われていたが、来年度より新学科として改組転換し新たにスタート、より実践的な心理学教育が行われることになった。昨今需要が急増している企業や学校などの自治体領域内で活躍できるカウンセラーや、臨床心理士などの人材育成をめざすという。

  心理学科では、基礎心理学を中心に授業が行われ心理学の基礎を充分にトレーニングする。さらに心のメカニズムの解明を目指す認知系と、能力開発、予防増進などの心の発達を探求する発達系の二科目群を柱としたカリキュラムが組まれ、人間の「こころ」の理解を進める、先端的で特色ある学科を目指す。従来の心理コースでは行われなかった心理学の新たな学問領域、認知科学を導入したことが新学科と旧コースとの大きな違いとなっている。これにより現在の教育学科での授業より、広範囲な心理学の学習が可能となる。また認知科学分野は哲学、言語とのかかわりが深く、心理学科を中心とした他学科との連携によって文学部全体の活性化が期待されている。

U部三学科廃止

  二〇〇三年度から現在設置されている文学部二部の三学科(日本文学科、英文学科、教育学科)がすべて廃止されることとなる(現在認可申請中)。「第二部教育に対する社会的要請の変化から」と廃止する理由について本学は提示している。来年度新入生より実施され、在学生については現在の所属学科のままとなる。

  なお既存三学科のうち、日本文学科では来年度よりフレックスタイム制が導入され、今後も夜間の授業が行われる。

  現在二コース制で教育が行われている教育学科については、教育学コースの講義、教員は新設されるキャリアデザイン学部へ移行される。心理学コースは同じく新設される一部心理学科へと改組されることとなる。英文学科においては、全面的に廃止される。

日本文学科  昼夜開講制導入

 二〇〇三年度より日本文学科において昼夜開講制が導入されることとなった(設置申請中)。定員は昼間主コース一一六名、夜間主コースは六〇名となる。

  昼夜開講制では昼夜間どちらも現在の第一部のカリキュラムをベースとした共通のカリキュラムが実施される。夜間主コースで自由科目八単位分が卒業単位として含まれないこと以外昼夜間の大きな違いはない。

  時間帯は、昼間主コースが一限から五限、夜間コースが月曜から金曜の六・七と土曜の一限から五限で、月曜から金曜の五限と土曜の一限から五限が共通時間帯となる。どちらのコースに所属していても両コースの授業を自由に履修できるようになる(なお語学と体育は所属コースのみ可)。

  また従来の二部日本文学科では文学、言語の二コースしか選択できなかったが、夜間主コースにおいても、人気の文芸コースが選択できるようになる。さらに文学、言語、文芸の各コースの必修科目も、現在は一部を除いて所属コースの科目しか履修できないが、来年度より選択科目として履修できるようになる。

問題点は残る

 今回の文学部の大幅な教学改革は、文学部が「二十一世紀の人文科学を担うにふさわしい先端的な教育・研究機関となる」べく行われるという。

  しかし今回新設される心理学科については、昨今注目を集めている心理学は他大学の入試においても高倍率であり、他大に追随した受験生の人気とりと言えなくも無い。また二部が廃止され、夜間部も昼間部と同額の学費となることによって、学生の負担は増すという側面もある(在学生は所属学科のまま)。廃止理由について、本学は社会的要請の変化からとしているが、清成総長が推進する市ヶ谷再開発が、第一期終了時点で資金が底をついたという情報も一部にはあり、二〇〇五年度より開始されると見られる第二期工事の為の人件費削減及び資金導入目的という見方もできる。

 セメスター制導入も今まで通年で行われてきた専門科目の講義が基礎的な部分で止まってしまうということや、半期ごとに成績を出さなければならないため、柔軟な講義が行いにくくなってしまうという危険性もあり、今回の改革は少なからず課題、問題点を残したといえるのではないだろうか。

 

 



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