第三者評価委員会設置


教育と経営の両面が対象

外部の目により質の向上ねらう

 

 本学は、四月二十三日の共同記者会見にて、学校法人法政大学の教育・研究と経営の両面について、その適正性を外部の者が評価・点検する「第三者評価委員会」を設置した、と発表した。これは、大学の質の保証は大学自らの責任において行うべきであり、教学面及び経営面における情報を開示する責任があるという理念に基づいたものだ。学校法人がこのような第三者評価委員会を設置したのは、国内初のことである。

 

 大学では、以前から自己点検・評価を行っていた。委員会ではこれを参考にしながら評価する。具体的評価方法や評価基準については、今月上旬に開かれる第一回委員会で協議される予定だという。自己点検・評価とその公表は「大学設置基準」によって以前から義務付けられていた。ただし、これは教育機関としての大学を評価対象にしている。一方、今回の委員会では、教学面はもちろん経営面も評価対象とされており、学校法人としての大学も評価されることが特徴だ。

  これまでも、大学に関する評価の情報は開示されてきた。しかし、それは大学自身の自己点検であり、客観性に欠ける。そこで、その自己点検が大学間相互の委員会によって評価され、公表されていた。だが、大学間での評価という点で、確実な透明性は確保されない。ならば、「大学と関係を持たない立場からの評価という、全くの第三者の目に晒される必要がある」ということで、委員会設置に至ったそうだ。

 監査室の話によると、「社会に向けた情報公開という面もあり、従来の自己評価に客観性を持たせ、より信憑性を増したものにすることが委員会設置の目的だ」という。その結果、大学は、受験生や学生、卒業生、学校関係者をはじめ寄付者や政府、地方自治体、そして一般市民など様々な利害関係者の信頼度を上げることを期待している。また、外部の目による評価を生かし、大学の質の向上を計ることも目的の一つとしている。これに関しては、「激化する大学間競争に勝ち抜くためには、教育・研究の質的向上と経営改善が必要であり、質的に高いと評価される大学には志願者が集まる」と話している。評価後の効果の一つに、志願者の確保も含まれていることは、大学経営を支える収入の獲得にもつながるのではないか。

  委員会は、八名の有識者から成り、その任期は二年とされる(表参照)。第三者評価に詳しい天野郁夫東大名誉教授や、安田生命の大島雄次会長などをはじめ、教育関係者や財界人などその分野は多岐にわたっている。また、文系学部の多い本学ではあるが、工学部および情報科学部に合わせた理系委員も選出されている。社会への情報公開を目的の一つとするため、「社会的信頼の厚い人であることを重視し、討議した上での委員の選考ではないか」と監査室では説明する。

  国立大学では、文部科学省の大学評価・学位授与機構による外部評価が、すでに制度化されているが、試行段階である。また、学校教育法が改正され、来年度より、全大学が教育・研究についての第三者評価を受けることが義務付けられる。このような動きはあるが、「全体が軌道に乗るまでには数年を要するだろう。その間にも大学の質の向上を目指すには、いち早い評価システムの構築が必要である」という清成総長の考えの下、委員会設置に踏み切ったという。これだけ注目を集めた以上、今後、学生が質の向上を実感できる成果が望まれる。

  最近の本学の社会的評価に関しては、昨年十月に第一回の結果が出された二十一世紀COEプログラム、今年一月に発表された格付投資情報センターによる長期優先債務格付が挙げられる。前者では人文科学分野において採択され、後者でもAAマイナスという高格付を取得した。

 本学の、全国区大学へのイメージと学校法人としての自信は高まるばかりである。今回の委員会設置から見ても、大学の相当な自信がうかがえる。 大学のあり方を問われるこれからの社会において、本学のこのような動きは今後も注目を集め、新しい経営モデルの確立へ向かうだろう。ただし、その結果、大学を支える学生への利得が生まれるのか。確かに社会からの信頼や評価を集め、知名度なりブランド性なりを高められるかもしれない。しかし、だからと言って肝心の学生からの真の信頼を堅持することはできるのだろうか。そのためには、学生からその意味と必要性を認められるような取り組みが求められるだろう。

 

 



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