火災で発覚 管理体制に穴

危機意識の甘さが招いた火災


 今回の火災について調べていく過程で、問題が浮き彫りとなった。保健体育部の話によると、火災が発生した当時、体育館を使用していた五つのサークルの中で、正式に許可を取って使用していたサークルは、二つしかなかったという。このことから体育館の使用状態に欠陥が見えてきた。

 サークルが体育館を使用するときは、学生による団体「常置委員会」を通して使用許可をもらわなければならない。常置委員会が部、サークルの要望をくみ取り、使用時間の編成、配分を行う。その後、保健体育部に報告して、初めて体育館を使用できるということになっている。しかし、火災の当日三サークルは、許可を取らずに使用していた。こういった問題は、過去にもたびたび発生していたという。

  しかし、常置委員会の状態にも問題はあった。委員の話によると、常置委員会は現在実質四人で運営している状態で、一部体育会所属の委員は一部体育会のサークルのみといった、一団体一人で体育館使用の管理をしなければならない状況だという。委員の選出方法も各団体の中から選出するのではなく、先代から引き継ぐ形式で委員会を運営していた。また、常置委員会の存在自体あまり知られていなかったようだ。

  他にも一部体育会・二部体育会・学生団体連合に所属していないサークル等が使用する場合、どこに申請すればいいかわからず、直接体育館に行って許可なく使用してしまう場合がある、三団体所属のサークルでも、許可を取らずに勝手に使用してしまうサークルがあるといった問題があった。また、学外者が無断使用している場合があったなど、常置委員会で把握しきれない部分が多々あった。個々のサークル、サークルへの情報の伝達状況、管理システム自体にも問題があったことになる。

  しかし、大学側にも問題がある。練習場を無断で使用しているサークルを発見しても、注意だけで特別咎めはしなかったようだ。またこういった事実があったにも関わらず、練習場は常に開放していたという。

 こういった問題について、保健体育部は、「常置委員会と、体育館の管理を含めた運営のあり方についてもう一度折衝する。場合によっては、完全に大学側で管理することにもなりかねない」と話しており、学生主体の権限をはく奪されるという事態に至る可能性も出てきた。

  「これだけの火災が起きて、死者が出なかったのは不思議なくらいだ」と麹町消防署の指導調査係山田氏はいう。出火した階より上にいた部員が迅速に避難できたことで、被害を最小に抑えることができた。しかし、少しでも遅ければ死亡者も出ていたほど、大規模な火災だったという。

  火災は、危機意識の低下が呼び水となって発生した。露呈した体育館使用の問題も、使用する際規定に従わなかったサークル、情報伝達等を徹底していなかった常置委員会、体育館の施設の管理、使用者の管理をおろそかにしていた大学側と、体育館に関わる者すべてに問題があった。こういった普段ないがしろにしていた部分、意識の甘さが今回の火災に結びついたと言える。山田氏は、「大学で年に二回も火災を出すのは、法政ぐらいしか聞かない。危機管理ぐらいもっとしっかりしてほしい」と落胆していた。この火災を通じて、軽んじていた管理体制を見直し、危機意識を再点火させるべきだろう。

 

 



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