昔から先のことを考えて生きるのが嫌いだった。未来のことばかり考えて目標にたどり着く前に死んでしまってはおもしろくない。 いつ終わりを迎えても、公開のないような人生を送りたい。そんなことを思い、そのためには今この瞬間を常に楽しまなければ、と考えていた。  大学に入る時もそうだ。経済や社会といった、なんとなく将来が見えてしまいそうな勉強はしたくなかった。だから文学部を選んだ。文学ならば就職とはなんのつながりもないという考えだった。

 大学に入って1年経った。浪人していたこともあり、周りの友人達の中には社会に出て働く姿も珍しくなくなってきた。サークルの先輩達も就職活動を始めた。こうなると、就職に関する話がいやでも頻繁に耳に入ってくる。

 しかしこんな状況になっても、私はあくまで将来について考えることをしなかった。したくないのだ。何をそんなに意地になっているのか自分でも良くわからない。 もしかするとただ怖いだけなのかもしれない。考えたところで、つまらない未来しか想像できないのではないか。そうなるのがいやだから『今を純粋に楽しめなくなるから』などと言い訳をして、未来から逃げているのではないか。そんな風に自問自答してみる。

 それでも私はこの生き方を変えるつもりはない。悩もうが悩むまいが、来るべき時はいつか必ずやって来る。その時何をするかは、その時の自分が決める。そうすれば後悔する事もない。 周りの人間が社会に出て、それぞれじぶんの道を進んでいくのを見てもそれに流されることはなかった。それどころか、あらためて今の生き方を変えたくはないと思った。そして、そう感じた時初めて、自分の生き方に自信のようなものを持つことができるようになった。これで自分もほんの少しは成長したのかもしれない。そう思うと、なんだか少しよい気分になった。

 

 


   

 


 

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