いつからか、私は型にはまった生き方をしてきた。頭に入っていないのに、授業にはとりあえず出る。横断歩道は青になってから渡る。私は、周りの目をどうも気にしすぎているようだ。少し人と違うことをすることに抵抗はない。しかし、あまりにもかけ離れることをするのには恐怖を感じる。それは、女子高生のルーズソックスに似ている。自分だけ違う靴下。そんなの嫌だ。子供の頃から変わっていない。皆と同じでいたかった。昔、方言を直して「皆と同じ」を獲得した▼いわば、私もルーズソックスを履いているのだ。皆の真似ばかりしている。気が付けば私は自分を見失っていた▼私は酒におぼれた。酒の席で私は壊れた。意識はあるが、酔いにまかせて思うがまま行動をとる。私は自分の内面を暴露する。いつもと違う自分に戸惑いつつも、私はそれが気持ちいいと感じていた。いつも素直でいたい。しかし、次の日振り出しに戻る▼先日、私はひとつの嘘をついた。酒の席でのことを問われ、覚えていない、と、とぼけた。しらふの私は、自分を覆い隠した。自分を悪く見せたくなかったのだ▼人間には表と裏の顔がある。私の場合、周りの目を意識しすぎていたため、表向きの顔は作られたものだった。自分をもっと見つめよう。そして、素直な自分を表に出そう。何かしらのきっかけがあってもいい▼夜な夜な酒がからだを巡る。私はルーズソックスを脱ぎ始めた。翌日、思い切って素直な自分を出してみた。そこには、普段と変わらず受け入れてくれる友達がいた。単に自分がうじうじしていただけの話だ。それでも、大学に入って三ヶ月の、お互いを知り始めたばかりの頃だから良かったのかもしれない。素直な自分でやっていける。もう振り出しには戻らない▼「お前は変わった奴だな」。最近、そう言われると私は喜びを感じるようになった。人と同じから徐々に抜け出してきた。勇気をくれたきっかけは酒だった。新しい私に乾杯。       (笹井拓馬)

 

  


 

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