新人記者野球観戦記


 

 高校時代、母校の野球応援というものに縁のない環境にいた私にとって、全てが新鮮だった。

 球場に入るやいなや私が惹き付けられたのは、試合がどんな状況に転がっても力の限り応援する仲間の姿だった。彼らがスクラムを組んで熱唱する校歌は胸を熱くする。スポーツはもちろん試合や選手がメインだが、決してそれだけではない。試合を陰で支える大勢の人がいて初めて成り立つものだと気付いた。

 その仲間の前で繰り広げられる好プレーの数々。だが今のところ成績に関して言えば、法大はあまり芳しくない。私が見た3試合はいずれも負けてしまった。この状況下での救いは何だろう。

 試合後の選手へのインタビュー。負けた後は記者の質問など見向きもせずに行ってしまうだろうと思っていた私は驚いた。選手達は随所に悔しさをにじませつつも、冷静に試合を振り返り、記者の質問に対して真摯に答えてくれる。中には記者の目をまっすぐに見つめながら話す選手もいた。その姿勢からは野球に対する誠実さが伝わってくる。これが試合を見ている人にも伝わるのだろう。だからこんなにも応援する仲間がいる。私は六大学野球の魅力がわかった気がした。

 試合には負けてしまったが、ハートの熱い仲間達と、その応援に対して誠実に応える選手達がいる限り、法大野球部はいつかきっと大きなことをしてくれる。そんな予感で、球場を出る時、私の心は弾んでいた。 (鈴木敬子)

 

 私の初取材の日、対戦相手である立教のピッチャーは、高校時代の友達の大川だった。マウンドに立った大川は高校の時よりも、一回り大きく見える。大川が法大を打ち取る姿に引きつけられ、気が付けば私は大川を応援していた。しかし、攻守が代わると法大の応援に戻っていた。攻守ごとに応援が代わるという何とも不思議な状況に私はいたのだ。野球はおかしなスポーツである。

 その後、大きなピンチを作り大川はマウンドを降りた。そこには、現実の厳しさがはっきりと存在しているのがわかる。ただ、負けたままでいてほしくない。強くなって戻って来てほしい。そう強く願った。

 多少のショックはあったが、その後は冷静に試合を見ることができた。どんな選手がこの厳しい世界でプレーしているのか。そう考えるようになっていた。幸い、試合後に選手にインタビューできる。つまり、選手の一面を知ることができるのだ。

 私は1年生の大引にインタビューすることになった。しかし、新人の私は何を聞けばいいのかわからずに、先輩に助けられながら質問した。「自分の持ち味である守備を生かしていきたい。途中勝ちを確信して気がぬけたが、次の試合からは、また気を引き締めて試合に臨みたい。ヒットは一本一本貪欲に狙っていく」勝利の余韻に浸りながらも、次の試合へ熱い闘志を見せる大引は大きく見えた。これが六大学野球で生きる選手なのか。私は、喜びを含む興奮を感じた。同じ1年生なのに自分には無いものを持っていた。しかし、私にも何か大きいものがあるはずだ。それが、何かはこれから取材で見つけていきたい。大引の取材は、その一歩となったのだ。 (笹井拓馬)

 

 


   

 

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