秋季リーグ開幕


 

 九月一四日より、二〇〇二年度東京六大学野球秋季リーグが開幕した。昨年の春以来、優勝から遠ざかっている法大は、今季こそは王者の意地を見せたいが、第二週の明大戦で引き分けを挟む連敗をし、勝ち点を一つ落としてしまった。いきなり黄信号の法大だが、今季優勝する為には、打線の開眼が一つのポイントとなる。

 

 チーム打率二割一分四厘。これは昨春の法大の成績である。順位は三位タイに踏みとどまったものの、打率だけはいまいち振るわない。土居(営・四)が防御率〇.九九をマークしながらも勝ち点を挙げられないのは、打線の沈黙が大きな原因の一つであった。さらに、投手陣の不安定さがある。春には猪子(法・一)・中野(法・ニ)ら若い戦力を投入したが、やはり昨春の優勝に貢献した奈須(法・四)や松本祥(法・三)の戦線離脱は、復帰したばかりの土居に予想以上の負担をかけていたのだろう。何と土居は十二試合中十試合に登板したのだ。二勝して初めて勝ち点を得られる総当たり戦の六大学野球では、甲子園のようにピッチャーが一人で投げ切ることは体力的にも厳しいのである。山中監督の「土居ばかりが目立ってしまった」という言葉が全てを物語っている。

 そして迎えた今季。心配されていた奈須、松本祥ら投手陣も顔を揃え、臨んだ第一戦。土居が好投しながらも、明大・一場の前に法大打線は沈黙し、二安打での敗戦。続く第二戦は、松本が要所で変化球をうまく使って相手を翻弄し、八回まで一失点に抑えていた。しかし一点差のまま打線の援護を得られず、九回の表に同点の本塁打を浴び、「悔いが残る」(松本)引き分けとなってしまった。

 さらに第三戦。序盤に「ふんばりきれなかった」(山中監督)土居が明大に本塁打を含む六安打を浴び、降板。続く奈須が何とかその場を治めたが、三回までで四点差。三塁側スタンドにいやな空気が流れていた。しかし四回の表、法大は、今季バッティングフォームを変え、調子の上がっている澤村(営・四)のレフト前ヒットを口火に反撃の狼煙(のろし)をあげ、まずは二点を返した。そして、七回に河野(営・四)の適時打、澤村のスクイズでさらに二点を追加し、ついに追いついた。どこかで見たことがあるような試合だった。それは、昨年の春、法大が四十回目の優勝を決めたシーズンの対明大第一戦である。昨春の法大は、土居・奈須・松本祥の三本柱が絶好調で、中軸が打つべきところで打つなど、全てが噛み合っていた。五回の四点差を覆しての勝利はそんな中から生まれた。しかし、今季の法大は、七回の裏にワイルドピッチで逆転を許し、結局これが決勝点となり、痛い黒星スタートとなってしまった。

 何が違うのか。「四番の責任」。今季未だにヒットの出ない後藤(文・四)はきっぱりこう言った。確かに昨年の全日本選手権あたりから、チーム全体に暗雲がかかったように、チャンスでのあと一本が出ない。後藤らがドラフトで注目されているが、「波がある選手は、本当に力があるとは言えない」と山中監督は厳しい口調だった。しかし、後藤は「春とは違い、当りはいい」と、決して不調ではないことをアピールする。それを象徴するのが、後藤の今季初打席である。ライトへのあたりは、明大の好守備の前にフライに倒れたが、確かにあともう少し伸びていたらと思わせた。少しずつではあるが、法大に光が射し始めている。第三戦で明大に追いついたのはその表れであろう。「気持ちでいけるんだな」と後藤が話すように、投打が噛み合い、選手たちが自信を付けたとき、法大はどの大学にとっても脅威のチームとなるだろう。まだ、リーグ戦は始まったばかりだ。

 

 


   

 

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