新生野球部 4位終戦


 

 5月25日、対東大戦をもって、法大の春季リーグ戦全日程が終了した。金光新監督の下、ディフェンス重視野球を掲げ、3季振りの優勝を狙いスタートした法大。しかし、投手陣の柱となるはずの松本(祥)(法・4)や、山下(哲)(文・4)の不調。チャンスで繋がらない打線。細かいプレーの不徹底などの要因が重なり、立大、東大の2校からしか勝ち点を挙げられず、結果は昨秋と同じ4位に終わった。それでも、新里(法・4)、佐々木(法・4)ら上級生が攻守にわたりチームを引っ張り、下敷領(しもしきりょう)(文・2)、村上(法・2)、大引(法・1)などの若い力も頭角を現し始めるなど、秋への光明を見出せたシーズンとなった。

 第1週・対慶大戦。リーグ戦開幕前に「昨年までの経験や実績に関わらず、調子の良い選手を使っていく」と話した金光監督だが、開幕戦となったこの試合には、誰もが予想し得なかったであろう、大胆なオーダーが組まれた。スタメンにリーグ戦出場経験の無い1・2年生を4人起用し、リーグ戦初登板の下敷領が開幕投手に抜擢された。「自分の持ち味は粘り強さ、スピードが遅い分、コントロールを意識して投げた」(下敷領)と語るように、六大では数少ないアンダースローから、変化球をコースに投げ分ける丁寧なピッチングで、慶大打線を7回まで3安打に抑える好投を見せる。しかし8回、開幕戦と初先発の緊張からか、疲れの見え始めた下敷領が慶大打線に捕まり、3安打を浴び1失点を許してしまう。下敷領の踏ん張りに応えたい法大打線だが、慶大の先発・清見の好投の前に3塁を踏むことも許されず、散発3安打。0―1で開幕戦を黒星で終えた。試合後、金光監督は「今後も今日のような接戦が続くだろう。しのいで勝ちにつなげるようにしたい」と淡々と語った。

 続く第2戦、「立ち上がりはよかったが、3回から急に崩れだした」と捕手・新里が試合後に振り返るように、先発・松本(祥)が3回までに本塁打を含む6被安打4失点の乱調で降板してしまう。打線も悪いムードを振り払えない。佐々木、村上が3安打と発奮するも、肝心な場面で3つのバントミスが出てしまいチャンスを作れない。バントや走塁など、出来る事を確実にやり、少ないチャンスを生かすとする金光監督の目標とした野球が出来ずに、勝ち点を落としてしまった。

 開幕から2連敗で迎えた第2週・対立大戦。先発・中野(法・3)が初回に先制され、またも苦しい展開になるかと思われた矢先、初勝利への突破口を開いたのは1年生ながら全試合スタメン出場を果たした、大引だった。2回、2死満塁のチャンスで打席に立った大引は、左中間に走者一掃の3塁打を放ち逆転。「大引のヒットが大きかった」と新里も評したように流れを変える一打だった。その後も相手のミスを見逃さずに確実に得点を重ね、中野から下敷領への継投で初勝利を飾った。しかし、続く第2戦では4投手を継投しながら試合を運ぶが、計15安打を浴び11失点。法大も計10安打で一時は8点差を4点差まで猛追するが、投手陣が踏ん張りきれず、9回には立大・多幡にダメ押しの本塁打を浴び試合終了。「投手陣があれだけ打たれては…」と落胆した表情の金光監督。苦しい台所事情を露呈した試合となった。

 1勝1敗で迎えた第3戦。優勝戦線に残るためにはこの試合で勝ち点を挙げたい法大。先発・下敷領は2・3回に1死満塁ピンチに立たされる。「コントロール、変化球ともに良くなかった」と試合後に振り返るが、「配球が偏ってコースを絞られないように、ストライクゾーンを広く使った」という新里のリードの下、要所を締めるピッチングでピンチを無失点で凌ぎ切る。そして5回「何とかして、下敷領を楽にしてあげたかった」と話す山下(裕)(営・3)が無死1・3塁の場面で右前に適時打を放ち先制すると「6回からは力を抜いて投げることができた」(下敷領)という言葉通り、安定感が出始め、5安打完封と立大を封じ、待ちに待った勝ち点1を挙げた。

 1週の休みを挟み、迎えた第4週。ここまで無敗の早大と対戦するが、「力の差を見せつけられた。悔しさだけが残った試合だった」(新里)この言葉がすべてを物語っていた。プロからも注目を浴びる鳥谷を中心とした早大の強力打線を抑えることはできず、2試合で4本塁打を含む計26失点を献上し、2連敗。

 第5週、対明大戦ではリーグ戦初先発の猪子(いのこ)(法・2)が力のあるストレートで攻め、3回まで明大打線を無安打に抑えると、その回の攻撃で1死1・3塁の場面で、内野ゴロの間に3塁走者が生還し先制。このまま逃げ切りたい法政だが、6回、守備が乱れ、2つのエラーから2点を失ってしまう。その後は追加点が入らず、7回5安打に抑えた猪子の好投は報われずに、痛すぎる黒星となった。第2戦も今までの敗戦と同じ悪循環をたどっていた。初先発・福山(営・2)が6回を無失点で抑える好投をするが、中継ぎ陣が崩れ、9点を献上し、明大にも2連敗。この時点で優勝の可能性が消えてしまった。

 このままでは終われない法大。最終戦となった対東大戦では、投打ともに法大らしさが戻ってきた。下敷領、福山、猪子の2年生3人が2試合で東大打線を1失点に抑える好投をみせた。打線も村上が今季チーム初の本塁打を放つと、「4番は試合のカギを握る存在、責任とこだわりがある」と話す佐々木が、自身初の2打席連続含む、2試合で3本の本塁打を放ち、東大に圧勝してリーグ戦の幕を閉じた。

  リーグ戦を通じて、主将・新里は「一生懸命やってきたが、この結果では悔しいだけです。監督の目指すディフェンス野球が浸透してきたが、まだ甘い面がある。秋に向けてもっと意識を高めていく」と悔しさを噛みしめていた。金光監督は「六大は甘くない、という事を教えられました。そんななかでも若い選手がいい活躍をしてくれました。今後は1点を与えない野球を目指して、ディフェンス強化を中心に白紙の状態から秋へ向けていきます」とリーグ戦を振り返った。

チーム防御率5・45。 金光監督率いる新生法大野球部の船出は順風満帆とはいかなかった。当初掲げたディフェンスを重視し、1―0で勝ち抜いていく試合ができたのはわずか1試合。

 この結果は投手陣の崩壊に起因される。今の法大に完投できる力をもった投手はいないに等しい。その穴を埋める中継ぎ陣が安定せずに打ち込まれる。さらに野手の失策が重なり失点するというケースが多かった。打線のほうも、バントに確実性がなく、チャンスを作り出せない。そして、得点圏からの1本が出ない。それは数字をみれば顕著だ。六大打撃成績で10位以内に入ったのは、4番の佐々木のみだった。秋へ向けて、まずこれらの面を改善することが求められる。

 しかし、金光監督の蒔いた種は確実に芽を出している。チャンスメーカーとして定着した大引。打率・333の好成績を残し、開幕からクリーンアップを任された村上。7試合に登板し、防御率1・96と貢献した下敷領。そして後半戦から先発として頭角を現し始めた猪子、福山。彼ら若い力が秋に向けてどれだけの成長を遂げるかが、常勝法政の名を奪回するカギとなるだろう。

 

 


   

 

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