優勝までの軌跡


 今季の法大は「今までで最強のチーム(山中監督)」というほど、戦力は整っていた。昨秋タイトルを獲得した土居(営・三)、後藤(文・三)を中心とした選手層の厚さから前評判は高かった。
 東大との開幕戦では、打線が爆発したものの、対早大戦からは深刻な打撃不振に陥り、勝ち点を落としてしまった。後藤の不調をはじめとして、主力選手が打てない。
 そんな打撃陣の中で、勝負強いバッティングを見せたのが、浅井(法・四)と河野(営・三)だ。  浅井は昨秋レギュラーの座を新里に奪われかけた。昨季終了後、「野球に対する姿勢を変えた」という。さらに、今季からバッティングフォームを変えた。「三月のアメリカキャンプで、向こうの選手が思い切りのいいスイングをしているのを見て、自分なりに取り入れた」という。結果は、三割四厘で、不調の後藤に代わって六試合で四番に入り、十打点の活躍を見せた。守備の面でも定評のある肩の強さを披露し、全イニング出場を果たした。
 河野は、昨年まで公式戦出場がなかったが、オフの間に急成長。こちらもアメリカキャンプに行ってから、「逆方向打ちなどの基本的なトレーニングを心がけた」という。今季は全試合一番に座り、三割六分二厘の大活躍。自ら出塁してチャンスを作り、法政の数少ない得点源となった。
 五月に入ってからは、エースの土居が調子を崩した。対明治、慶応一回戦では途中降板。このピンチを救ったのが、奈須(法・三)だった。昨秋防御率二位ながら味方の援護なく、未勝利に終わった。オフには投げ込みを重点的にやったという。対明大戦では二試合連続でリリーフとして登板し、ともに無失点に抑えた。試合後には「調子は良くなかったが、気持ちで投げた。今後も登板する試合は負けたくない」と語っていた。
 その後、奈須はさらにすばらしいピッチングを見せる。首位の早大が敗れ、自力優勝の可能性が出た直後の対慶応二回戦では初の完投勝利を挙げる。翌日の試合でも同点の八回二死一、二塁から登板。見事このピンチを切り抜け、最終回のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。これでチームのムードは一気に明るくなり、そのまま優勝を決めた。今季の優勝は、奈須の存在なくしては語れないだろう。
 さらに今季の優勝の要因として挙げられるのが、少ない得点差を守りきる試合ができたことだ。これまでは重量打線といわれながら、好投手にかかるとなかなか打てず、接戦で敗れることが多かった。しかし、今季は九勝のうち二点差以内が六試合と勝負強さが光った。  全国選手権にむけて、後藤が調子を取り戻すなど、明るい材料がそろい始めている法大にとって、大学日本一は夢物語ではない。 (東和宏)

 

 


  


 

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