前回の箱根駅伝、一年生ながら復路のエース区間である九区を七位で走った。夏には全日本インカレハーフで六位に入る健闘。そして、秋の箱根予選会で全体三位。まさに、出世街道を突き進んできた。しかし、いたって本人は「何も変わっとらんよ」で、周りからの期待も気にしない。
  また、私が「走っている時どんな計算して走っているのか」、そして、「いつもどんなペースでまず入り、終盤はどのくらいで走るのか」という質問を投げかけても、彼は「そんな難しいこと考えとらんからわからんわー」と最後にはいつも一蹴してしまう。
  普段の彼は、もの静かで、言いたいことがある時以外は、なかなか口を開かない。それは走り方もいっしょで、相手について行く粘り強い走りをするのが得意。華々しい走りとは少し疎遠である。
  さて、そんな動じない姿を見せる彼にも悩みはある。 「箱根の走りが、自分の走りかどうかわからなくなってしまった」ということを聞いたのは、四月頃。自分の思い描く姿と記録がすれ違っていた。しかし、それは走るたびに徐々に克服されていく。節目の大会で好成績を残せたのも大きい。 そして現在。「黒田は速い。二十キロなら負けへんけど、いつそれも破られるかどうか。十キロじゃ勝てへんし」と弱気な言葉。
 しかし、彼は長い距離を走れば走るほど、持ち味を出すタイプだ。「長い距離では絶対負ける」と黒田選手。現に、上記三つの大会の距離は二十キロ以上。今年の箱根も二十三キロの九区を走る可能性が高い。 「前回は、悪い流れを止めることしかできへんかった。今回は、流れや順位にもよるが、良い流れにして、たすきを渡したい」 レース終盤にむかえる重要な区間を、彼がいつも通りに走ることができれば、その後、大手町のゴールで法大駅伝チームが待望のシード権を獲得するのは間違いない。

 
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本文
アスリートへの道
 徳丸選手・黒田選手
→ひたむきな走りから  土井選手

新春を彩る箱根駅伝本大会は二〇〇一年一月二日午前八時スタート。

  


 

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