第七十七回東京箱根間往復大学駅伝競走が来月の二日、三日に行われる。前回の箱根駅伝では、一区、二区共に区間賞というロケットスタートを見せ、前半六位で折り返したが、六区山下りにおいてブレーキ。以後、九位までに与えられるシード権を争ったが、権利まであと二十九秒というところで、惜しくも十位に終わった。それ以来、「二十九秒差」を合言葉に選手達は走り続けてきた。そこで、それぞれの一年を振り返ると共に、本番への意気込みをうかがった。

「力負けでした」

 新チームの船出は「リーダー不在」でスタートした。
  チームの核であった坪田選手が抜けたあと、それを担うはずの新四年生が就職活動で抜けてしまった。「六月頃までには終わると思っていたのですが、七月までかかってしまいました。誤算でしたね」。成田監督が思うようなチーム作りは、なかなか進まなかった。
  そのようなリーダー不在の中、「前回の箱根駅伝は力負けでした」と認める指揮官は、その力不足を解消する期待として、一年生に視線を向けた。「素質は十分。入部した時から、タイムは良いものを持っていました」と監督。四年生が不在する中、結果として、一年生が走る機会も多くなった。その間、全日本大学駅伝の予選会が六月に行われたが、通過の原動力も一年生の活躍が大きかった。

「あせり」

 四年生がチームに合流したあと、次にチームを襲ったのは「けが」だった。「一年生を見てあせったのか、上級生がけがをしてしまいましてね。予選会に出場する選手の中で、去年も経験した人は数えるほどでした。(本戦への出場は)正直、だめかと思っていましたよ」と渋い顔を見せる監督。さらに、このけがが思わぬところで選手に影響を及ぼすことになった。「徳本(社・三)が予選会の時、体調不良を起こしたでしょ。あれは、自分の中の責任感からくるもの。メンバーの気持ちを抱え込みすぎたのでしょう」
  しかし、チーム状態が不安定ながらも、土井(社・二)や、大村(社・四)、黒田(社・一)らのチーム一丸となった走りで、なんとか予選会を通過した。

「期待は前回以上」

 それでも監督は、前回以上の期待感をどこか秘めている。「前回を経験した選手がけがから復活し戻ってきました。一年生もメンバーに三人は入るでしょう。それだけ層が厚くなりました。これで復路も十分戦えます」。経験者が戻ったことで期待感が増す。予選会前の「ここさえ越えてくれれば」という監督の言葉は、故障者の復活に期待していた証拠でもある。前回の結果は、最終的には多くのけが人を抱えたチームは勝ち残れないという教訓でもあった。
  だが、一年生の経験はまだ、浅い。タイムでは上級生を上回る人もいるが、力を出しきれないのが箱根駅伝の怖さだ。未経験者に過度の期待をかけることは、前回の反省を十分にいかしたとはいえないだろう。上級生の、下には負けたくないという反発心、苦い経験を二度としたくないという精神力も期待感の中に含まれているのである。「(前回は)力を出しきれなかったから負けたというけど、当日に力を発揮できない精神力の欠如が、負けるべくして負けた原因だと思う」という土井選手の言葉は、駅伝チームを導く道しるべとなりそうだ。

 

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新春を彩る箱根駅伝本大会は二〇〇一年一月二日午前八時スタート。

  


 

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