四月十四日に開幕した東京六大学野球春季リーグは、法大が二季ぶり四十度目の優勝を飾った。第三週の対早大戦で惜しくも勝ち点を落としたが、その後は粘り強さを発揮して一つも勝ち点を落とさなかった。法大は六月十二日から行われる全日本大学選手権に出場する。

 九回ツーアウト、最後の打者の打った打球はショートの前へ。一塁にボールが届いたのを見て、土居がガッツポーズを見せる。その瞬間、選手らがマウンドに駆け寄り、抱き合った。二季ぶりの優勝。昨春は全試合終了後に優勝が決まり、あまり実感がわかなかった。だが、今回は違う。選手たちの表情は達成感と満足感でいっぱいだった。
 その後、学生席の前で山中監督が三度、宙に舞う。続いて田中主将も胴上げされる。満面の笑みを浮かべる選手たち。五月二十九日、神宮球場。法大は立大との首位決戦を制して見事優勝を決めた。
 一勝一敗で迎えた第三戦は文字通り天王山となった。勝った方が優勝。そんな一戦を目にしようと学生席はスタンド上段にまで人が埋まった。  試合開始直後の一回表、法大は三連投の立大先発・多田野から一死二、三塁の先制チャンスをつかむ。ここで後藤が打席に入る。 「シーズン序盤は打撃フォームを崩して、どん底だった。慶応戦ごろから思い通りに打てるようになって、ボールも見えるようになってきた。久しぶりに四番で使ってもらって、必死でした」  三球目。鋭く振り抜かれたバットから、打球が三塁手の横を抜ける。走者一掃の二塁打。昨日どうしても取れなかった先制点を、初回から奪った。
 法大先発の土居は、「今日は調子が悪かったので、コントロールに気をつけて丁寧な投球を心がけた。それが逆に良かった」という。四回まで走者を出しながらも無失点に抑える。  五回裏、法大は連続エラーから無死一、二塁と初めてピンチを迎える。ここで激しい雨が降り始め、いやな空気が流れる。もうミスは許されない。しかし、ここでも土居が送りバントを好判断で三塁へ送球し、ワンアウト。続く打者を一塁ライナーに仕留めると、最後は空振り三振。完全に後続を断ち切った。  六回以降も危なげない投球を見せた土居は、見事法大に優勝をもたらした。胴上げが終わり、選手がベンチに引き上げた後も、土居はグラウンドでキャッチボールを何度も繰り返していた。白い歯を見せながら投げるその姿からは、あの最高の瞬間を忘れたくない、今もう一度優勝した瞬間の感動を胸に焼き付けようとしているかのようだった。

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